営業パーソンのための財務会計教室。
今日はちまたでよく聞く「粉飾決算」について触れてみたいと思います。
粉飾決算ってなに?
粉飾決算とは、不正な会計処理を行うことで財務諸表をより良く見せる虚偽の決算報告のことです。 より簡単に書くと、会社の通信簿たる決算書を偽って、良い成績に見せることです。 銀行や投資家は、お金を出す出さない(貸す貸さない)を、この決算書をもとに判断を下しますので、その内容が偽りがあれば大問題なんです。
歪められた決算書に騙されて、お金を貸してしまった、しかも返済できなくなった、となれば一大事。訴訟沙汰になります。
また虚偽の決算書が横行してしまうと、何を信用していいのやらわからなくなってしまうので、市場が混乱してしまいます。なので、一般に認められた会計基準を定め、そこに合致しているかを公認会計士によって監査するということになっているんです。
でも、無くならないんですよね。粉飾決算って。成績はよく見せたいですからね。
そうしないと銀行から融資が受けられませんしね。
また、税金をあんまり払いたくないからって、逆に成績を悪く見せる逆粉飾っていうのもありますよー。ルールに則った節税対策なら問題ないんですけどね。
よくある粉飾決算の手口。
粉飾決算って、基本的には、利益を本来よりよく見せる、のが手口です。 なので、以下の2つが該当します。
・売上を過大に見せる
・原価を過小に見せる
売上を過大に見せる?
年度末、売上が足りない。。。なんとしても、掲げた目標数値を達成したいんですよ。 経営者も営業部長も。
でも、そうそううまくもいくものでもない。
「あと数千万。この数千万なんとかならないのか?なんとかしろよ、営業部長。どんな手を使ってでもな」(経営者)
「どんな手でもですか。。。あと一週間ですね。。。はい、なんとかします」(営業部長)
こんなとき魔が差した営業部長は、懇意にしている取引先に電話を入れます。
「あ、◎◎物産の◎田社長、いつもお世話になっています」(営業部長)
「今日はちょっと相談がありまして。いや、今期もあと一週間でしょ、ちょっとね、売上が足りなくて困ってるんですよ。」
こんな感じで会話が進み、
「でね、返品前提でもちろんいいんですよ。だから、あと数千万。発注かけてくれませんか?」 「ホント、この期末を乗り切るだけでいいんですよ。あくまで形だけで。。」
実際には、在庫が動かないケースもあったりします。 なので監査人は、期末の売掛金額が異常に多くなっていないか?在庫はちゃんと移動しているのかを確認します。
また会社宛に、売掛金の額はいくらですかー?と確認する書面が来たことはありませんか?取引先ごとに確認しているんですね。
棚卸資産をちょろまかす。
次に粉飾決算で多い事例が、棚卸資産をちょろまかして原価を過小に見せるケースです。 つまりは、売上から原価を差し引くと利益が算出されますので、原価を小さくすれば、利益は大きくなるんですね。
次の図に示すように、売上原価を算出するには、期初在庫+当期仕入れ−期末在庫という計算を行います。
つまり、期末の在庫をちょろまかしさえすれば、、、売上原価が減る!
期末在庫が大きくなると、その分売上原価が小さくなり、ひいては利益が増大して見えるんです。
・既に出荷したはずの在庫の記録を改ざんし、期末在庫があるように見せかける。
・棚卸評価損を計上しないで、期末在庫があるように見せかける。
これが棚卸資産ちょろまかしの手口。
粉飾の手口はまだまだあるのですが、代表的な売上の過大計上、棚卸資産ちょろまかしのケースを紹介しました。 粉飾は、ちゃんとたどっていけば概ね見つけられます。
だからゼッタイやっちゃダメです。
といっても決算発表まで日数が限られているので、しっかり在庫を確認したり、売掛金の実在も十分に確認できません。
また今日は触れてませんが、工事進行基準のようプロジェクトの進行度合いを見積で対応するというケースもあります。 その場合は、その分野にめっちゃ明るくないと現場経理責任者などに言いくるめられてしまいます。
正しく決算報告を行うことが経営者の責務です。不正がおこならないような内部体制も同時に整えていきましょう!